二本立て映画

というものが、とても好きです。わ、すごく日記らしい書き出し。

先日、飯田橋ギンレイホールという名画座で、「苦役列車」と「鍵泥棒のメソッド」の二本立てを見ました。厳密に言うと、順番としては、鍵泥棒→苦役列車。両方見たかたならわかるかもしれませんが、逆で見たほうがそんなに帰り道暗い気持ちにならずに帰れます。

鍵泥棒のメソッドは、香川照之、広末涼子、堺雅人の3人のつくる妙なテンポが面白くて、見た後はスッキリとした映画なのですが。苦役列車のほうはというと。森山未來の救いようのなさがすごくて。なんか、汚そうな臭そうなかんじまでが心にこびりついてしまった感じ。誤解のないように言いたいですがこの映画、好きです。前田敦子が働いていた古本屋さんは高円寺の「都◯書店」だった気がするし。

というか私は作品の感想を述べるのがとても苦手なんです。だからこういうことが書きたかったのではなくて。

私は、なんだか少しもやもやした気持ちがあるときは、映画を見たい!という気持ちになります。友達と行くのもいいけど、一人でひたすら映画をどっぷり見たいというモードのときがあったりして。
「映画好き」とか「映画通」とかなんてまったく言えないのですが、見たい!と思うと、まとめて何本か見たくなります。だから名画座の「二本立て」というのがとても好き。
私はあまり落ち着きのない人間なので、たとえばDVDを4つくらい借りてくると、いっぺんに4つどうにか摂取できないだろうかとか思うような、びっくりするくらいせかせかした気持ちのときがある。そういう状態には二本立て、とか三本立て、などは結構ピッタリで。別に同時に摂取できるわけじゃないのですが座っていると勝手に見せてくれるという状態がいいなと思うのです。

立て続けに映画を見ることの何がいいかというと、それは一時的な逃避だったり、陶酔できたり。要は自分の要素ではないもので頭が埋め尽くされる感じがとても好きで。
美術館とかもたまに行くのはすごく好きだしそういうタイプの濃い〜作品を見るのも好きだけど、なんだか映画よりも能動的に見てしまうせいか、人の作品を見ていながら自分の妄想が膨らんでしまったりして。それがいい!というときももちろんあるのですが。受動的にだ~っと垂れ流されていく感じもすごく好き。

ギンレイホールは年に1,2回行く程度なので全然常連ではないのですが、
たまにいくといつも思います。
食べ物のにおいがするなあ、と。

年間1万円くらいでいつも見放題、という年間パスポートをもっている常連さんたちは、Suicaのようにピピっと入場して、席につくなりどこかで買ってきた弁当やらサンドイッチやらを開けて食べながら見ている。お友達と話しながらだったり、一人でもくもくとだったり。映画と映画の間は10分くらいしか休憩がないので、サンドイッチを食べてからトイレに行くなんてことはできない。どちらかを選ぶ感じ。なかなかストイックなんですよ。

苦役列車が始まったのは18時頃の夕飯どきだったからか、場内は記憶より妙にくっきりと、食べ物のにおいがした。一つ一つ美味しそうな匂いが混ざり合っていて、行ったこともないのに、お相撲を見に行くとこんなかんじの匂いがするのかなと思ったりして。そして苦役列車は色々と臭そうな映画だったのでこの日の想い出は結局「におい」になってしまいましたとさ。

日記って文体がわからなくなりますね。
私は誰に向かって書いているんでしょう。