平日の高円寺
今日は確定申告の準備をチンタラとしてまして。
すぐだしにいけばいいものをうだうだしてるうちに、
必要書類の再発行手続きをとらなければいけないという事実にわりと直前になって気づいたため、結局本日中の申告は諦めて、のんびりと歩きながら手続きをしにいくことに。
平日の昼間に高円寺を歩くと、まわりの人々がつい気になってしまう。
いちいちキャラ立ちしているのがニクいなあ、と思いながらぼんやり歩く。
ちらほらいるのは、やはりデートをしているおしゃれ古着好きのカップルたち。うーん、高円寺。
公園の前を通って目に入って来たのは、子供たちの姿というより、80年代ファッションでお互いの写真を撮り合う男女。それからベンチにすわって、イヤホンで何かを聴きながら、無我夢中でシェイカー(シャカシャカいう楽器)をふる男性。うーん、高円寺。
少し歩いた先の駐車場を横目に見ると、自主制作だか友達への応援メッセージだかを撮影する女子たちが。うーん、高円寺。
意外と早く用事が終わってしまって、帰りがけに寄った喫茶店は、手作り感あふれた空間。
看板にひかれて店の前まで来てみたものの、入ろうか迷っていると、元気なおばあさまが招き入れてくれた。店内では不思議なオペラのような、クラシックのような音楽が流れていた。でも日本語だった。
どうやらおばあさまがひとりで切り盛りしているようで、奥は素敵な茶室のような空間になっていて、手前側は洋風な喫茶店風。奥の雰囲気は違う手前の洋風喫茶のやぼったさが妙に落ち着く…。ような…。
店内には2人ほど1人客がいた。
その後常連らしき若い男性が入ってきて、コーヒーを頼んでからおもむろに言った。
「これから葬式なんだけど字が汚いから、ママ(おばあさまのことだと思われる)、香典袋に名前書いてくれない?」
ママは、「あら、私は字下手よ。この人すごくうまいのよ」と、隣の常連さんらしき女性をさす。
「あ、書きましょうか。」と快諾する女性。
「あ、でもまだ僕香典袋買ってない」と男性。
「あらあら」と、奥から香典袋を持ってくるママ。孫か。
「わあ、本当に上手ですね」
「いえいえ、下手です」
「いや上手ですよ」
「あ、間違えて違う所に書いちゃった…ごめんなさい!何考えてるのかしら私!」
「あらあら、いいのよ(もう一枚出す)」
「なんかすいません」
気づけば男性は裏口からかどこかからかいなくなっていた。おそらく香典袋を持って。ていうか、孫か。ほんとに。
帰り際おばあさまに、「お近くにおすまいなの?」とお上品に聞かれ、
「そこまで近所じゃないんですが、用事があったので」と答えると、
「そうなのね。じゃあ、またきてくださる?」とお店のスタンプカードを笑顔で渡される。少し不器用な手つきで。
そこでは焼き菓子やパンなども売っていて、思わず食パンを買ってしまった。
「またきてくださいね」と言いながらさらに焼き菓子をそっと一つくれた。
というかそもそも食パンもケーキセットも相当値段安かったけど…。
こうやってこのママは孫を増やしているに違いない…。
いや、ママなんだから子供か…。
うーん、高円寺。