間鴨はあいがもと読みます
最近、池波正太郎著「そうざい料理帖」という本を読んでいます。
本屋さんでたまたま気になって買った本。
ちなみに鬼平犯科帳も剣客商売も読んだこともドラマを見たこともありませんが。
この本を手に取って第一の印象は、
亡くなった、祖父に似ている…。でした。
(帰って画像を検索してみたら、実際は全然似ていなかった)
ともあれ、手に取ったのも何かの縁なので、読み進めていきました。
池波正太郎氏は、1923年浅草生まれで、子どもの頃から食へのこだわりが強く、十代から高給取りとなって、きちんと食事を愉しむという習慣が板に付いている人だったとのこと。
戦後に作家として活躍するようになって後、その日食べたものを日々記録するようになり。
家人が献立に困ったときに参照できるようにしたとのこと。
織田信長を書いたりその日暮らしの大工を書いたりと、日々、様々なキャラクターが乗り移るようにして家で仕事をしている氏にとっては食事は大きな愉しみであり、また書くこと自体にも大きな影響を与えていたようで。
この本は、氏の食にまつわるエッセイを厳選しメニュー化し、イラストつきで再現した本で、平凡社から出版されています。
いや、さすがに手に取った時点でそれはわかっていたけれど、
それにしてもやはり、この本は「クックパッドのレシピブック」ではなかった。
「間鴨がとどいているから、これをアワビの貝殻を鍋にして、すき焼きにし、これでウィスキーを飲むことは昨夜から決っている。飯のおかずを考えるのに苦慮したが、結局、鱈と小松菜の吸い物、大根と油揚げの煮もの、にする。」
うひー、であります。
何ひとつ真似出来る要素がない。
強いて言うなら、大根と油揚げの煮もの、くらいか。
しかしです。こういう料理を仕立ててくれる料亭を毎日はしごする生活、と比べたら、氏の生活は多少は質素なのかもしれない。とはいえ家でそれをやろうと思うほうが周囲の人にとっては骨が折れたりして。お手伝いさんはいったい何人いたのだろうか。
この生活は、贅沢の極みかもしれないなと思った。家に最大の贅沢を持って来るなんて、これ以上幸せなこともないかもしれない。
この本を読んだときの私の感情は、あれだ、少しあれと似ている。
松浦弥太郎「くちぶえサンドイッチ」を読んだときの気持ちでしょうか。
共通するのは独特な「男の贅沢」にあるような。
でも私、松浦さんは少し苦手です。まだ理解が追いついていないのかもしれません。
それにしても、この本には美味しそうなものが本当にたくさん紹介されています。
今気になっているのは、
「間鴨入り生卵のぶっかけ飯」
①鴨肉は焙って小さく切り、醤油とみりんのつけ汁をかけまわしておく。
(フライパンで焼いてもOK★)
②①を溶き卵ときざみネギと合わせ、醤油で味付けをする。
③炊きたての飯にかける(ほんとうの炊きたてでないと美味は減じてしまう★)
※「忠臣蔵」で有名な大石内蔵助も討ち入りの前夜に腹ごしらえしたといわれていますよ!
↑クックパッド風に紹介しました。
「だれにでもできる」と氏は書いていますが、私は、間鴨がどこで買えるのかすら知りません…。
この本を買った日、無性にマクドナルドのポテトが食べたくなって、誘惑に勝てずに行ってしまいました。
この感情はいったいなんなんだ、と腑に落ちなかったのですが、氏も「ポテトフライ」が大好物だったとのことで、文中で連呼していたことに起因すると今は開き直っております。
私も毎日食べたもの記録しようかな。
ダイエット日記みたいになっちゃいそうです。