ヴァーツラフ・ハヴェルの人生

%e3%83%8f%e3%83%b4%e3%82%a7%e3%83%ab2
先日、広尾にあるチェコセンターにて、「ヴァーツラフ・ハヴェルの人生 (2014)」を見た。
映画館などでの上映もされなさそうだし、DVDなどになるのかもわからないので少し詳しく書いてみます。

■Life According to Václav Havel/ Život podle Václava Havla/ヴァーツラフ・ハヴェルの人生 (2014)
監督:アンドレア・セドゥラーチュコヴァー
言語:チェコ語(日本語字幕付)

少しずつ、小説や映画やドキュメンタリーを通じてチェコの歴史に触れているのですが、
色々な作品で名前を見かけていたけど、どんな人か調べたことはなく。
プラハの春、ソ連侵攻、ビロード革命、そして共和国へ、、、という激動のチェコの歴史を知る上で、最重要人物と言っていいような人。
もちろんチェコのみならず、その時代のヨーロッパを大きく動かした人物であって、
この方の名前はその功績を讃えて、プラハの国際空港の名前にもなっているのです。

ヴァーツラフ・ハヴェルの激動な人生を濃縮して描かれた70分の映画。
裕福な家庭に生まれ育ち、英才教育を受けながらも特別扱いを嫌い、戦後の共産体制によって全財産を押収され、特別扱いをされる身分ではなくなった。
教育を受けた自分が言葉を操ること、それに使命感すら感じながら詩を書いていたハヴェルは、働きながら演劇に魅せられ、戯曲を書くようになり、劇作家となる。
長年演劇に携わり成功者となり、また海外文化(アメリカなど)に触れ、ヒッピーやアンダーグラウンドカルチャーにも感化される。
厳しい検閲があり表現の自由が許されなかった共産体制下で起きた1968年の改革運動、プラハの春を後押しする動きももちろんしていて、その改革がソ連に潰された「正常化」時代には、反体制運動の指導者として活動。何度も逮捕・投獄をされ、自身のうつや病気と戦い生死の境をさまよったこともあった。
辛い時代の中でも劇作家や作家としての活動を通じ戦い続け、その後1989年にビロード革命の中心となり、ついにはチェコスロバキア連邦最後の大統領に選出される。

間に家庭の話や女性の話もはさまれ(「ハヴェルは一夫一婦制の人ではなく、女性が好きで、また女性もハヴェルを好いた」といったフレーズが印象的。そしてハヴェルは長年連れ添った最愛のパートナーを失って1年未満で年下の女優と結婚した)、影響を受けたロックの話、大統領を退任した後も妻を主演にした映画を撮ったりと、何かと世間を騒がせた人だったよう。それでも2011年に亡くなった際は、王様が亡くなったかのような国葬が行われたそう。

国やヨーロッパ中、世界中を動かしてひっくり返し、果ては大統領になる。
これは本当にドキュメンタリーなのかな?と思うくらいの壮絶さで、サクセスストーリーとも言い切れないような気がした。

ここまで戦い続けられたのは、時代なのか、環境なのか、この人自身の強さなのだろうか。
こういう人が現れた時、人は迷わずついていってしまうのだろうな。
そして裏を返せばとても危険な状態にもなりえるんだろう。

その時私はどう動くのだろうか。
今のところ、ふわふわとついていってしまいそうで危険だ。