【およそ3センチ角の日記】20161229 この世界の片隅に

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各所で大絶賛されていて、ずっと気になっていた映画を見ました。
話題作で席が取れるかも心配でしたが、開始1時間前にテアトル新宿に着くと、席は残り3分の1といったところ。

様々なところで語り尽くされているのであまり多くいうのも気が引けますが、少し書いてみます。
私はそもそもアニメをあまり見ない人間なので、
アニメを映画館で見るというのは、ジブリ作品以来かな。(最後に見た記憶があるのは「風立ちぬ」…前過ぎるな)

なのでなんだかアニメというものに目が慣れていないせいか、開始数分は「アニメを見ている」という意識が勝手に先行していて、ストーリーに入り込みきれなかったような気がするのですが。それでも数分後には気づけばすっかり入り込んでいました。
主人公のすずさんの見る視界がたまに絵画のような世界になっていくシーンなどもあいまってか、
アニメ、人間ドラマ、絵画、戦争映画、もろもろの先入観や垣根を超えて表現されていく世界に溶け込んでいく感じ。

ほわーんとしたドラマで笑いながら、爆撃音と悲しみの連続でふっと我に帰らされる。
ああそうか、この延長線にあの日がある、ああくる、きてしまう、という感覚。
アニメだからこそできる表現がいくつもあって、
すずさんのフィルターを通して、酷さ悲しさは十分伝わってくるのだけれど、
だからこそ、もっと生々しい描写が多くあってもいいかもしれない、とも少し思いました。
これ以上すずさんに辛いものを見せたくないよ、という思いは十二分に抱きながら。
でも、きっと実際目にしていた世界は相当にもっともっと、つらいものだったはずだから。

終戦後の最後の方のシーンが結構ビジュアルとして印象に残っています。
ああいう場面は、私だってきっと写真で見るのはつらすぎる。
だからこそアニメで残すことに意味があるんじゃないかなとも思いました。

すずさんの描くヒロシマ、とても愛に溢れていたなあ。
つい電車が気になってしまうのでありました。
きっと「火垂るの墓」みたいに、数年に一度、見る映画になるのだろうな。