【チェコ記2 連載をはじめます】
いろいろと迷っているうちに時間が経ってしまいましたが、2017年3月、私はチェコ共和国に行っておりました。
チェコに行くのは3回目。大学生のときに5日間、2015年に20日間、そして今回の17日間。2015年の滞在は「チェコ記」という小冊子にまとめ、帰国後に行った個展で販売。そして今回は、記事を連載のような形で掲載していこうかなと思い立ちました。いわばこれから書く2017年の滞在の記録は「チェコ記2」。
そもそも1があったことを知らんわ、という方のために、まずは前回の「チェコ記」の「はじめに」を引用します。
「なぜチェコ?」と、よく聞かれる。
あまり記憶が定かではないが、大学に入った頃、何かのきっかけでチェコの人形アニメをみた。チェコの映像作品は、可愛さと陰鬱さが同居していて、その雰囲気に強く惹かれた。多くは暗いのだが、その中にもユーモアと皮肉と、そして変態性がある。それに惹かれる私も変態なのかもしれない。あとは、チェコという国名の語呂もいいよね。チェコ。
その後大学2年生のときに5日間、親友とともにはじめてチェコを訪れたときは、大興奮で、見るもの全てが珍しくて美しくて可愛くて、山ほどのポストカードと雑貨を買い集めた記憶がある。いつかもっとチェコに長く滞在したい、という気持ちは心の片隅にずっと持っていた。そこからおよそ10年近くが経ち、友人がチェコの美大の大学院へ留学したのをきっかけに、私もまたチェコにいけないだろうかと考えた。できるだけ長くいけるように精一杯調整をかけた結果、ひねり出せたのは8月の20日間。それは、30歳で仕事をしながら捻出するには、自分にも人にも負担をかける期間だった。でも、今しかないと思った。それも観光だけではなく、はんこをチェコに持っていきたい。チェコで売りたい。チェコ人に見せたい。そこからは、チェコ語を習い始めたり、改めてチェコ関連の本を買い集めたり、はんこのイベントができるよう、直接的な知り合いでもない現地のかたに無謀な相談を持ちかけたり。8月は現地の人は夏休みで、ポッと出の外国人が出店できるつながりは事前に見つからなかった。とはいえ荷造りをした結果、はんこ道具がスーツケースの半分を占めていたのには、諦めが悪くてなんとなく笑えた。旅の最中も、どこに行くにもリュックサックにはんこ道具や作品を詰めて歩いていた。自分をバックパッカーと呼ぶには、あまりに非現実的なものしか持ち歩いていなかった。
旅立つ前に明確だったのは、「チェコにはんこを持って行くぞ!」という想いと、往復の飛行機と、プラハで滞在する宿と、ポーランドのアウシュヴィッツにも足を伸ばすぞという予定だけ。
(2015年10月刊行「チェコ記」はじめに より)
このようなスタートを切った2015年のチェコ行き。端的にいうと、この時は実際に公的な形ではんこを披露することはできなかった。ただしこの時にできたつながりがつながりを生み、今回の「チェコ記2」の旅が実現したのです。