展示「浅草文芸、戻る場所」@日本近代文学館
2018年夏。私は大きな夏休みの宿題に取り組んでおりました。
それは、「はんこを使ったアニメーションを作る」というもの。
もちろん一人ではできません。
大学時代からの盟友である島村健氏とともに、2人のチームで、アニメーション制作という未挑戦の分野に突入したのです。
テーマは、「浅草の歴史」。
早稲田大学の教授である金井景子先生が中心となったメンバーにより、浅草の文芸にまつわる展示が、目黒の日本近代文学館にて行われます。
縁あって私もこの展示の一部に参加させていただくこととなった次第です。
なかなか濃厚な浅草の文芸の世界へ突入する入り口のイントロダクションとして、
浅草の歴史を少しずつ振り返っていく内容となっています。
題して…
「絵はんこパノラマ絵巻
100メートルから見下ろす浅草と文学の100年間」
計4分弱の映像ですが、なかには絵はんこがもりだくさん。
その他展示は様々なコーナーがありますが、「浅草演芸」のコーナーにて、私の漫画風イラストも展示されます。
この展示を見ると、きっと渋谷から銀座線を乗り継いで、浅草に向かいたくなるはず。
さくはんじょのinstagramにて、作品のチラ見せも見られますよ!
文学展「浅草文芸、戻る場所」
――あの文豪たちと浅草の関係を知って、浅草をもっと楽しもう!――
【開催期間】2018年9月1日(土)~10月6日(土)
【開館時間】午前9:30~午後4:30 (入館は午後4時まで)
(日・月および9月27日は休館日)
【観覧料】300円(200円)、中学・高校生100円 ( )は団体20名様以上の料金
【会場】日本近代文学館▶東京都目黒区駒場4‒3‒55(駒場公園内) 京王井の頭線西口より徒歩7分
【主催】浅草文芸ハンドブックの会
アドバイザーおよび資料協力・西条昇 協力・月刊「浅草」編集部
↓以下、展示案内より。
──「文学」が関わると、浅草は戻りたくなる場所になる。
『浅草文芸ハンドブック』(2016、勉誠出版)を出版した後に、書物の中で遊ぶほうが好きで人見知りなメンバーの一人が、「浅草に、馴染み の店を一軒、作りたい」と言った。「馴染み」というのがどういう状態を指すのか、どんな店なのかはさておき、そのメンバーは「読んでお終いの浅草」ではなくて、リアルな浅草に止り木あるいは椅子のようなものを見つけて、寛ぎたくなったようである。
2016年、2017年と浅草の伝法院通りにある古民家ギャラリー「ブレーメンハウス」で、小さな文学展を開催した。そこで浅草の空気をいっぱい吸いながら、「文学」が関わると、浅草は戻りたくなる場所になる──という確信を得た私たちは、今回、いたって浅草っぽくないここ、日本近代文学館で、実験を試みることにした。駒場公園と言えば、かつては加賀百万石の前田のお殿様の別邸である。ソースや醤油が焦げる匂い(近年は、メロンパンが焼ける甘い匂いも)や、呼び込みの声など全く不似合いな、静謐極まるこの場所でも、浅草文学展を観た人は、必ずや井の頭線、銀座線を乗り継いで浅草に行きたくなるはずである。かつて、川端康成や永井荷風、高見順、江戸川乱歩、室生犀星たちがそうであったように、浅草はもはや一過性の観光地ではなく、幾度でも「戻る場所」になる。そのうちには、お目当の「馴染みの店」が作りたくなるかもしれない。